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仏教教室シリーズ③ 仏教はそこに生まれた

仏教の開祖は?と聞けば、日本人は「お釈迦様」と答えるでしょう。

おそらく、少し昔で、読み書きを習う人が少なかった時代でも、お釈迦様の名前は答えられたのではないでしょうか。


和尚さんは醍醐寺で修行する中で仏教史というものも学んだのだそうです。その時に、最初の授業で「仏教として理解しているものの全てを釈尊が生み出したのではありませんよ。」と言われたのだそうです。どういう意味なのかというと、お釈迦さんが生まれた時代にネパールやインドでは既に多くの宗教的なものが存在していて、その土壌の中で仏教が生まれてきたということを忘れてはいけないということです。

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殊に、大乗仏教の進化系である密教は既存の習俗を多く取り込み、大乗仏教が進化する形で成立してきました。ですから、インドより伝承の独特の装飾、修法、作法、声明、経典を伝承し、中国では一つにまとまり、日本に弘法大師が伝えて完成したといわれ、日本の独特の習俗や宗教観を取り込み日本の自然崇拝神道と混然一体となり日本佛教として独特のものを持っています(明治時代の廃仏毀釈で変化して現在となってますが)。


では、仏教ができた頃のインドの宗教って何?

それは、あなたも社会科でお勉強しています。

中心となる宗教はバラモン教ですね。

「あー、バラモンっていう悪いお坊さんがカースト制って身分制度の頂点で威張っているやつね!」と記憶している人が多いのでは?

でも、中身を見てみると、なかなか奥深くて、面白そうです。


さて、中学校の社会科から始まりますが、

インドの文明はインダス川流域のインダス文明が栄えていたところに、北方からもっと高度な文明をもつアーリア人が侵入してきてインドを支配するようになります。

このアーリア人が創り出したのがバラモン教です。バラモン教も自然神を崇拝するもので、

既に「ヴェーダ」という聖典が存在し、大きな炉で炎を焚き祭典を行っていたのだそうです。この祭典が仏教に取り込まれて、真言密教の護摩になったといわれています。

先ほどのイメージ通り、バラモンは司祭として祭祀を執り行い、最大権力を有していました。ちゃんと教義が備わっていて、宇宙神というか宇宙の根本原理のことを神格化したものを「ブラフマン」(梵天)といい、自我のことを「アートマン」(我)といい、目指すところの理想は「梵我一如」、つまり、宇宙の根本原理と自己が完全に一つになることを目指し、修行を重ねるというものでした。

「梵我一如」を成し遂げた先には、生まれ変わり(輪廻)からの解脱があります。


ここまで来ると、仏教との関係が????となります。

だって、前回にお話ししましたように三法印の中で諸法無我ってありましたよね。

つまり、我はないのが仏教の根本思想なのですから、自我を語るバラモン教とは矛盾してしまいます。むむむ!

このあたりは、我というものの定義にもよりますが、密教が成立していく中で宇宙観というものが成立していき梵我一如と密教曼荼羅が思想として成長といえる形になっていきます。

形だけみても曼荼羅の金剛界と胎蔵界はバラモン教のブラフマンとアートマンに似てますよね。梵我一如と金胎不二もよく似てます。


仏教では我っていうのは身体あってのもので、因果があって、この世にやってくる私たちが身体を得て”自分”というものを認識して我っていうものを創り出すといえます。

いろいろと混ざっているからわかりにくいですよね。


私見ではありますが、仏教というものは西洋の宗教と異なり、とっても懐が深い性質をもっています。インドではお釈迦様はいらっしゃったときには既存宗教であるバラモン教と距離を置くために異なる教義でしたが、その後、世の中の習俗であるバラモン教の考え方を取り入れ成長し、お釈迦さんは仏像禁止だったけど、ガンダーラにおいては仏教美術が発展していき、シルクロードを経由して中国に入り多くの宗教を取り入れるように密教が成長していく、また、チベットに伝わってはラマ教へと変化し、日本に渡っては古式神道の神々との習合をして日本佛教となり、実に土地の習俗や宗教と混ざり合い、変化し、成長する性質を持っています。まさに御縁によって変化していく宗教といえます。


だから、争いにならない宗教とも言われます。つまり、喧嘩しているのは仏教とは思えないような感じがします。憶えておいてください。ホントの仏教はみんなが笑顔でみんなが幸せになれるものであり、教えの優劣や正誤を争ったりすることはないはずです。


(このお話は、毎月の満月の夜に浅草でやっている満月写経の後にショート仏教教室の内容です。よかったら満月写経にもご参加くださいね)




 
 
 

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