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仏教教室シリーズ②ー三法印

(毎月の満月写経会での仏教講座の内容です。)

こんな満月の夜に写経会は行われます
こんな満月の夜に写経会は行われます

前回の教えは覚えてますか?

え?すでに記憶にない!

ま、学びなんてそんなものです。だから、重ねて重ねて学びを自分のものにします。

でも、学ぶことが仏教の目的ではないはずです。それを自分の人生に取り込み、有効に利用し、その理念のもとに生きる、それが大切です。生きるための教え。幸せに生きるための法が仏教です。


さて、お釈迦さんが最初に見つけた原理原則、四苦八苦でしたね。別の言い方では、一切皆苦という言い方もあって、この世は常に苦(思い通りにならない)という、間違いない事実、これを真理と言います。


仏教は真理と言われるものですが、真理の”しるし”といわれるものがあります。もっと言うならば、仏教という教えを貫く背骨のような理念であり、この理念が反映されてない教えは仏教ではないともいえる理念があります。


「三法印」です。

三法印とは、「諸行無常」、「諸法無我」、「涅槃寂静」の三つです。


1.諸行無常


ご存じ「平家物語」の冒頭、


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂には滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ。


真面目に国語の時間にお勉強された人なら聞き覚えのある句でしょう。実際には祇園精舎の鐘ってないらしいのですが、日本人にとっては鐘の声は仏教聖地のイメージだったのでしょう。


平家物語の解説は国語の教科書にゆずりおいて、ここに語られる「諸行無常」が一つ目の真理のしるしです。諸行無常とは、万物全てが常に変化を止めず、流動的に移り変わっているということです。”諸行”とは因果の法則によっておこる、この世のすべての現象です。”無常”は不変のものはないという意味です。現代の科学の考察をしたとしても、諸行無常という真理は矛盾を生じません。

平家物語
平家物語

2.諸法無我


諸行無常に続き、とっても大切で、お釈迦様が「仏教はこうじゃー!」と言っているかのような真理が「諸法無我」です。


”諸法”とは、

この世のあらゆる存在、あらゆる現象、あらゆる事象のことです。目に見える物質的なものから心の中で起こる精神的な働きも含んだ全てのことです。

四苦八苦の回で出てきた五蘊成苦がありましたが、その五蘊が宇宙に存在する目に見えるものだとすると、眼に見えない精神的・霊的存在や現代科学で存在を確認できないものも含めた宇宙にあるもの全てを”諸法”と言います。


そして”無我”とは「我(が)が無い」ことです。

「我」とは、サンスクリット語の「アートマン」の訳語です。お釈迦さんのいたころの古代インドバラモン教では、アートマンは「永遠に不変で、独立して存在し、他のものに依存しない、個人の本質・実体」のことを示します。日本でいうところの「魂」のようなもので、移り行く肉体や心の中にあって、輪廻転生を繰り返す存在です。


お釈迦さんは、この「アートマン」を明確に否定されました。それが「無我」です

つまり、「諸法無我」とは、「この世に存在するものには、永遠不変の実体(我)は存在しない」という宣言なのです。


でも、「私っているよ!」と主張したくなるところかもしれません。

諸法無我は自己を虚無であるといっているものではありません。因果によって生を受け、因果によって影響を受け、五蘊をもっている私たちは「私」をつくり、この宇宙に存在します。諸法無我が言いたいのは既存のバラモン教が主張していた永遠で不変の独立した存在であり、人が執着したり依存してしまう「我」です。


3.涅槃寂静


仏教のいう涅槃寂静は、いうなれば究極の幸せでしょうか。


「涅槃」とは、お釈迦様が到達された最高の境地です。

サンスクリット語では「ニルヴァーナ」といって、吹き消すという意味です。

何を吹く消すのかというと、煩悩の炎です。私たちの心を煩わせる「煩悩」からの解放です。涅槃に至れば、すべての束縛から解放され、解脱の境地に至ります。

輪廻を解脱して、六道輪廻を永遠に放れ、永遠の平和と安らぎに満ちた境地です。

仏教において涅槃は究極の目的です。

究極の目的であり、自己のなかにある幸せです。


これら三法印がある教えが仏教です。

私見ではありますが、当時のインドの状況を踏まえた真理でもあり、仏教と既存の宗教の決別する指針でもあったと感じます。

仏教は懐が深く、お釈迦様の対機説法のように時代と共に変化し、その土地の風習や宗教を包含して成長していきます。現代の日本においても成長を止めない教えです。その変化の中においても中心を貫く理念が三法印です。

大乗仏教への成長、密教への成長は後々にお話ししたいと思います。

では、今日はここまで。



浅草で行っている写経会は誰でも参加可能です。学び

毎月、満月の夜に19:00から行っています。瞑想、作法、写経、茶話会、仏教基礎講義、観月会という内容です。お気軽にご参加ください。お問合せはホームページの問合せメール、電話または公式LINEよりどうぞ。

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写経後の仏教教室の様子

 
 
 

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